2015年10月04日

戦前の少年犯罪

著者の妄執めいた現代マスコミに対する文句は別として,とてもおもしろい本である.
記録されている少年犯罪の事例の質と量に圧倒される読書体験になった.
何かを記録するということの大切さを思い知る.
posted by terarorz at 20:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

科学者として生き残る方法

先輩の研究者に勧められて読んでみた.名著と言えるのではないか.
中でも「自分のキャリアに関心を持て」は重要な指摘であった.自分がこの先どうなるかについては興味がないが,それでは良いキャリアを得られる可能性は低いということだ.逆に,自分のキャリアに関心があって目的さえ設定できればPDCAサイクルを回すだけで自動的に良いキャリアを得られる(可能性が高まる).
ことさら出世したいとも思わないが,自由を失うことだけは避けたいので,自由が得られそうなキャリアを目指すことになる.それが上手くいくかどうかには,やっぱりあまり興味がないが.
たぶん,自分をあまり好きではないのだと思う.
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境界の民

国家という網に掬い取ってもらえなかった,あるいは逃げ出した人たちの話.
社会派ルポって書くとイメージは悪いがそんな感じ.
今ここで何か表面的な反応はできないが,心の底に沈着して後にふとしたところで影響を与えてくれればそれで良い.
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悲劇の発動機「誉」

「誉」ほど悪名高いエンジンがあるだろうか.
世界最高水準の性能をうたいながら,芸術的な仕上げを要求したためその性能を発揮することはなく,故障続きで散々な失敗作だった,と.
烈風の失敗の最大の要因である(と堀越二郎が主張した)ため,恐らく最大勢力である海軍好きの三菱好きの受けは最悪である.
だが,果たしてそんなことがあるだろうか?同時期の米英独もエンジン開発には同じように苦労しているし(アメリカはそれほどでもないか?),当の三菱のMK9Aも大概で恐らくは烈風の生産には間に合わないだろうし,烈風だってアホみたいな要求仕様を考えるとエンジンの馬力や稼働性が多少改善されても成功はおぼつかないだろうし.

こう考えると「誉」を巡る物語は実に多岐にわたった論争を引き起こし,それらの物語性のおかげでますます「誉」は有名になっていく.
ところで意外に少ないのが,「誉」が純技術史的に観てどうだったのか,という観点だ.あまりに周辺の事情が戦争の趨勢に影響を及ぼすと持ち上げられすぎたおかげで,「誉」の設計が巷間言われるように「額面スペックは高いが芸術的すぎて戦争には向かない」ものであったのかどうか,きちんと議論されているのだろうか.

そこで,当時の設計技術者のインタビューを元に,IHIでジェットエンジンの開発に携わった男が改めて問う.「誉」とはいかなるエンジンだったのか.

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World End Economica II

エレノアがほんまかわいいねんな.

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posted by terarorz at 17:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

少女は書架の海で眠る

支倉凍砂の性癖.無知だが聡明な少女を拐かして己の知識体系を埋め込む.少女が迫害されていればなお良し.
次のステージに進まずに同じ話を作ってくれても結構だが,次第に飽きられることもわかって欲しい.

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posted by terarorz at 16:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ゼンデギ

意識とは何か.良い話題だとは思うが,グレッグ・イーガンをもってしてもその話題は遅すぎるように思われる.
より良い機械知性を作ろうとする試みが進みつつある2015年においても,近い将来のどこかでいわゆるシンギュラリティが起きるとしても,現段階での結論はほぼ出ている.
意識と身体は不可分で意識は身体にたやすく影響を受けるし身体の無い意識が存在するとしてもそれは人間の持つ意識とかけ離れるだろう.
コミュニケート可能であることと分かり合えることに違いがあるとわからない人間も多いが,その分別がつけば人間と同じ意識は人間にしかやどり得ないとわかると考えたい.すなわち「もし何かを人間にしたいなら,人間まるごとをお作りなさい」と.

イーガンが我々と同じ地平に居るのはわかったし,もしかしたらここに居ない誰かに向かって「こっちへおいで」と勧誘しているのかもしれない.しかしイーガンは天才であるが故に我々と同じ土俵で満足してもらっては困るし,もっと理解不能で訳の分からない,死後評価されるような存在であって欲しい.
なんとなれば,私は今,読んで理解してしまったことに不満を覚えている.
欲深い話だ.
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ビッグデータ・コネクト

この本についての記事を書いた記憶があるんだがどこにもない・・・.ダークヒーローとしては安直だがカタルシスがあるとか,IT土方文学は現代の蟹工船になるかとか,そんな話題について書いたと思われる.もう一度書くのは面倒だからこれで.
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2015年08月02日

ヒトラーの国民国家

「ユダヤ人問題の最終的解決」は如何にして効率的に官僚的に為されたのか,なぜヒトラー率いるナチスドイツはあれほど好戦的だったのか,今に至るまでギリシャがドイツを恨んでいるのは何故か,戦後フランスがイギリスはおろか西ドイツにすら経済的に劣るようになったのは何故か,など.
色々な物事を説明するのに役に立つ仮説について延々と議論している.同じ仮説についてひたすら述べるのは向こうの一般向けの本の特徴なのだろうが,訳者が恐らく学者であるためか,非常に読みにくい.しかし読み取れるのは簡単なことである.
「戦闘に勝利すると資産を奪える」「ドイツ人は資産のためにはなんでもする」「奪った資産はドイツ国民にばらまかれた」
ドイツ人にとっては恐らく耳の痛い話ではないか.

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猫のいない海

佐藤大輔は,時事問題を著作に反映させる癖がある.
例えばこの短編は,華統国がアスローンに侵攻する時,レンストールや皇国は一体どのように対抗スべきかが話題となっている.すなわち,集団的自衛権である.
地図を見れば大陸国家が島国の貿易国家をどのように圧迫するかがわかる,というレベルではなく,南シナ海の制海権を巡って中国がどう出るかという勢いで地政学的によく似た構図になっている.

ただ,そうした背景知識は「わからないならわからないでいい」程度に抑えこまれていて,むしろそうした背景において個人,特に軍人が如何にして振る舞うべきかというもう一つの主題のほうが明らかに重きを置かれて描写されている.もちろん佐藤大輔の作品であるから一定のひねくれ具合が加えられているが,それでもそういうわかりやすい面白さを楽しめるのが佐藤大輔の良い所だろう.
優勢な敵と戦うのは何故か,味方を逃して自らが敵に立ち向かうのは何故か,あるいは逃げ出すならいつか,そして,その時にどのような態度を取るべきなのか.

最後の一文の残す余韻がたまらないが,ここに書いてしまうのは勿体無い.
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2015年05月24日

侵攻作戦パシフィックストーム 外伝1

何が1だ何が.序数1というのは,2,3,と続いて始めて意味があるのだ.1巻には800円の価値しかない.2巻は5000円でも出すが.
本編は(例によって未完だが)昔読んだのだが,外伝だけ読んでいなかったので今さら.

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悲劇の海を越えて行け 上下

運の偏りに物語を生み出せるか.自分なりのエピソードを生成する機会があることが,自分にとってあるゲームに熱中するための一つのコツであるように思われる.特に元々のストーリーラインが存在しにくい,あるいは存在しないゲームについてはことさらそうだ.
多くの人がただの運の偏りで成功と失敗に一喜一憂しながら射幸感を味わっているのと,実は変わらないのかもしれない.他人の内面でどのような処理が行われた結果,これほどパチンコやソシャゲが流行っているのかは知らない.ただただ自分を,そのような射幸性の高い(いわば程度の低い)ゲームに熱中させるにあたって,そのような種類の言い訳を用意しているだけかもしれない.
もしこれを外挿して良いならば,多くの人もやはり何らかのエピソードを生成して自分を納得させてゲームに熱中しているのではないだろうか.ゲーム内の1ユニットにしかすぎない存在を愛してしまう時,客観的に彼はそのユニットを愛すると同時に,主観的に彼のエピソードを愛している.そして,彼の働きに彼女が応えた時に,彼女の精神は確かに彼の世界に存在している.
ゲームは彼に何らかの結果(例えば勝敗)を与える.その時に彼は何らかのエピソードを生成する.この機能が洗練された時,彼はついに彼以外の者にとってのエピソードからも彼女の精神を生成する.
例えば,ビスマルク海海戦,通称<<ダンピールの悲劇>>からも.

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海軍めしたき物語

我々はつい士官にとっての戦争を語りがちになるが大多数を占める兵隊にとって戦争とは悲劇以外の何物でもない.特に巨大なシステムである軍艦ではその傾向が強いだろうか.遠距離砲戦で勝っても兵卒の手柄にはならないのに,ミスをすれば殴り飛ばされる.烹炊所でひたすら飯を作っている兵士にとっては怖いのは敵軍より直属の上官の暴力だろう.
そういう日常に忙殺されながら,一兵卒がふと見た燃え盛る<赤城>ないし<加賀>の情景描写が胸を突く.後に<霧島>が鉄底海峡に沈み知り合いの多くが亡くなっている.

一方でそれを笑い飛ばせる諧謔と見栄を持ってこその従軍記でもある.悲惨なものをことさら悲惨に描かず,むしろコミカルに描こうとすらしている.史料として読んだつもりだったが,その価値はあったと思っている.
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エルフと戦車と僕の毎日I 上下

佐藤大輔の新刊ということで,期待が先行しすぎたせいかあまり良くなかった.

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posted by terarorz at 18:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

人類は衰退しました 平常運転

短篇集.意外と駄目だった.
SFっぽいネタを軽くあっさり書くのは「食卓にビールを」に通じるところはあるが,田中ロミオの凄みはたぶん一つ一つのネタよりその組み合わせで物語を一本作ってしまうところにあるのだと思う.一作一作を軽く作ってしまうと,ネタが勿体無いというか,もっと掘り下げて欲しいと思うところで話が終わってしまうので消化不良気味になる.読み返してみると一作一作は面白いのに,満足度が低いのはそのせいではないか.
あと,「わたし」が意外と日常ネタに向いてない.命の危機が迫らないと「まあ何とかなるでしょ」で全部対応しちゃうから.
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機龍警察 火宅

機龍警察のシリーズは好きなので短篇集も当然読む.

名前付きの主役および脇役の過去話が多いが,まあまあの面白さ.今この部署に居る人間たちが全員何らかの過去を抱えているというのは偶然にしては出来すぎだが,それが物語的な必然なのか,ネタに困って量産したのかはわからない.

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posted by terarorz at 18:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

キノの旅XVIII

いつものことながら内容は覚えていない
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天冥の標VIII-2

確かPart 1を読んだ時は評価保留にしたはずなんだが,Part 2は面白かったのでトータルとしては少し浮いたかなという印象.俺の評価基準では物語よりも設定を並べ立てている時間のほうが長い作家でもそれほど損をしないと思っているが,さすがに前巻はひどかった.それでも冒険譚が始まればきちんと面白くなったのでそれは良し.少年の成長物語,良いよね.もちろん青年でも.
小川一水は昔は設定でコケると全部コケる印象だったので,持ち直せるようになったんだと感動すらした.こういう言い方はアレだが,成長したな.

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人魚は何故恋をする

浅木原忍の短篇集,二作.

特に二作目の娘娘の人形の話は,作者本人が後書きで言っている通りに出来が良く,登場人物だけで既にゾッとするオチを予感させるのだが,本当にゾッとして良かった.ミステリなのにホラー.
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World End Economica 1

支倉凍砂の別シリーズ.自身がシナリオを書いたゲームをノベライズしたんだったかな(調べろよ).
面白かった.いや単に俺が支倉凍砂の書く,例えば「理性と情」「合理と非合理」「打算と信頼」の対比を好んでいるだけだが.生き馬の目を抜く世界で人を信じて良いのか.合理性のみが味方であって良いのか.正解というか納得できる生き方というのはその両者の間のどこかにあるのだが,それをどうやって測っていくのか.

文庫で800P弱あって長いのだが,Iとナンバリングしてある通り,上記のようなテーマはしっかりとは回収されていない(物語的な結末はきちんとある).続刊をまだ楽しめるという好意的な解釈も成り立つが.

あとは,まあ,ハガナがかわいい.テンプレ通りでも,かわいい.
posted by terarorz at 17:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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