2016年01月02日

動力の歴史

Wikipediaの各項目の記述は良い物もあれば悪い物もあるが,ある一定以下の価値の記事は概ね排除されており,トータルとして見れば各記事の価値はプラスである.しかし各項目の和としての価値よりもWikipedia全体の価値は高い.それは知識の連関が記事中の単語のハイパーリンクによって達成されているからでもあるが,それ以上に,記事の価値の足切りがハイパーリンクの効果を増幅してより高水準な知識の連関を与えてくれるからである.ただのWebがゴミ情報で溢れていることを思えば記事の価値の足切りは非常に重要である.

それでもなおWikipediaは知識を体系的に学ぶのには不足である.一つ一つの記事がたとえ「秀逸な記事」であっても,一つの事件について学ぶ限り通史は学べない.いかに「地方病」の記事が優れていても,だ.
それにハイパーリンクという機能による学習,というより学び手であるこちらには根本的な欠陥がある.すなわち,我々はハイパーリンクのうち,もともと興味のあったものしかクリックしない.Wikipediaによる学習では,はじめに興味は持てなかったが次第に面白くあるいは重要になる物事を学習できない.これは体系的に学ぶことが出来ないという問題に加わるもう一つの課題である.

そこでこうした入門書は今のところ価値を失っていない.特に自分の場合は,ディーゼルエンジン,ガソリンエンジン,蒸気機関,蒸気タービン,ガスタービン,そして水車の歴史と相互の関連についてきちんと理解していなかった.Wikipediaの各項目を読んだりもしたが重要な事柄ですら覚えて理解したとは言えなかった.そのため読むことに価値はあったと言える.

ただ,表紙の火星や金星の写真に惹かれて読み始めたが,その辺りの技術史は出て来なかった.
ロータリーエンジンは死ぬほどdisられていたが.何しろ永久機関と同じ章に押し込まれているのである.
まあそういうこともある.
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国道者

面白いし好きなんだけど,彼のブログで読んだ話ばかりだった.
だから感想は無い.
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マグダラで眠れVII

敵は優秀であって欲しい.

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2015年10月04日

悔恨を閉ざす鎖

二次創作のオリキャラはメアリー・スーにならなけりゃ割と許容するタチだが,勅使河原孝二郎は本当に好きだ.
正義の反対は別の正義,の一つの類型かもしれないが,方法論は違っても目的は同じ別団体ってのは萌えポイント高い.人間側,村人側の代表として振舞っていたのが,段々と妖怪側の論理に取り込まれていく様子も良かったのかな.

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posted by terarorz at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

私たちが雲を見上げた理由

どうも妙蓮寺は暗い話が似合うな.倫理に訴えかける話のほうが好みなので,妙蓮寺が絡むと二次創作の評価を上げやすい傾向があるぞ.

「〜という行動を取るように仕向ける」ことが推理小説における禁じ手かどうかは知らないが,ミステリの様式にこだわらないのならそれほど気にすることでもないように思われる.あなたがミステリだと思うものがミステリです.
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ヨーロッパ最終戦争1998上・下

欧州連合が崩壊しフランスとドイツが属国への経済支配を強める中で,ついには米英と対立し露とも不穏になるという世界.
敵と味方,有能と無能がはっきりしすぎていてちょっとつらい.有能を描いているときはつまらなくはないんだが.
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WORLD END ECONOMICA III

良くも文庫で2500P(概算)も読ませてくれたな

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沈黙の橋

北日本と南日本に分断された世界での二重スパイを巡る物語.
ターゲットがどちらをどのように裏切っているのかがわからない中で事態だけが深刻になる緊迫感が最高.

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コロンビア・ゼロ

このタイミングで航空宇宙軍史の22年ぶりの最新刊が出ることに異常な巡り合わせの良さを感じた.
短編集であまり連作という雰囲気でもなく,また戦争の趨勢が明らかになったわけでもないから,今ひとつ論評はしにくい.
ただ,いつもの谷甲州,つまり我々の求めているものが描かれているのでそこはとても良かった.
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ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>

1-3章は原子核反応についての説明で面白くもなんともない.
4,5章で具体的な核燃料や核兵器の製造と動作の話が出てきてやっと盛り上がる.
ただ原爆についてはほとんどWikipediaレベルの話しか載っていない.水爆については少し詳しい気もする.ただ期待していた水準ほどではなかった.
まあ要素要素としてはWikipediaレベルでもそれを纏めた本というのは案外価値があるのではないか.
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戦前の少年犯罪

著者の妄執めいた現代マスコミに対する文句は別として,とてもおもしろい本である.
記録されている少年犯罪の事例の質と量に圧倒される読書体験になった.
何かを記録するということの大切さを思い知る.
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科学者として生き残る方法

先輩の研究者に勧められて読んでみた.名著と言えるのではないか.
中でも「自分のキャリアに関心を持て」は重要な指摘であった.自分がこの先どうなるかについては興味がないが,それでは良いキャリアを得られる可能性は低いということだ.逆に,自分のキャリアに関心があって目的さえ設定できればPDCAサイクルを回すだけで自動的に良いキャリアを得られる(可能性が高まる).
ことさら出世したいとも思わないが,自由を失うことだけは避けたいので,自由が得られそうなキャリアを目指すことになる.それが上手くいくかどうかには,やっぱりあまり興味がないが.
たぶん,自分をあまり好きではないのだと思う.
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境界の民

国家という網に掬い取ってもらえなかった,あるいは逃げ出した人たちの話.
社会派ルポって書くとイメージは悪いがそんな感じ.
今ここで何か表面的な反応はできないが,心の底に沈着して後にふとしたところで影響を与えてくれればそれで良い.
posted by terarorz at 19:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

悲劇の発動機「誉」

「誉」ほど悪名高いエンジンがあるだろうか.
世界最高水準の性能をうたいながら,芸術的な仕上げを要求したためその性能を発揮することはなく,故障続きで散々な失敗作だった,と.
烈風の失敗の最大の要因である(と堀越二郎が主張した)ため,恐らく最大勢力である海軍好きの三菱好きの受けは最悪である.
だが,果たしてそんなことがあるだろうか?同時期の米英独もエンジン開発には同じように苦労しているし(アメリカはそれほどでもないか?),当の三菱のMK9Aも大概で恐らくは烈風の生産には間に合わないだろうし,烈風だってアホみたいな要求仕様を考えるとエンジンの馬力や稼働性が多少改善されても成功はおぼつかないだろうし.

こう考えると「誉」を巡る物語は実に多岐にわたった論争を引き起こし,それらの物語性のおかげでますます「誉」は有名になっていく.
ところで意外に少ないのが,「誉」が純技術史的に観てどうだったのか,という観点だ.あまりに周辺の事情が戦争の趨勢に影響を及ぼすと持ち上げられすぎたおかげで,「誉」の設計が巷間言われるように「額面スペックは高いが芸術的すぎて戦争には向かない」ものであったのかどうか,きちんと議論されているのだろうか.

そこで,当時の設計技術者のインタビューを元に,IHIでジェットエンジンの開発に携わった男が改めて問う.「誉」とはいかなるエンジンだったのか.

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posted by terarorz at 17:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

World End Economica II

エレノアがほんまかわいいねんな.

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posted by terarorz at 17:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

少女は書架の海で眠る

支倉凍砂の性癖.無知だが聡明な少女を拐かして己の知識体系を埋め込む.少女が迫害されていればなお良し.
次のステージに進まずに同じ話を作ってくれても結構だが,次第に飽きられることもわかって欲しい.

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posted by terarorz at 16:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ゼンデギ

意識とは何か.良い話題だとは思うが,グレッグ・イーガンをもってしてもその話題は遅すぎるように思われる.
より良い機械知性を作ろうとする試みが進みつつある2015年においても,近い将来のどこかでいわゆるシンギュラリティが起きるとしても,現段階での結論はほぼ出ている.
意識と身体は不可分で意識は身体にたやすく影響を受けるし身体の無い意識が存在するとしてもそれは人間の持つ意識とかけ離れるだろう.
コミュニケート可能であることと分かり合えることに違いがあるとわからない人間も多いが,その分別がつけば人間と同じ意識は人間にしかやどり得ないとわかると考えたい.すなわち「もし何かを人間にしたいなら,人間まるごとをお作りなさい」と.

イーガンが我々と同じ地平に居るのはわかったし,もしかしたらここに居ない誰かに向かって「こっちへおいで」と勧誘しているのかもしれない.しかしイーガンは天才であるが故に我々と同じ土俵で満足してもらっては困るし,もっと理解不能で訳の分からない,死後評価されるような存在であって欲しい.
なんとなれば,私は今,読んで理解してしまったことに不満を覚えている.
欲深い話だ.
posted by terarorz at 16:04| Comment(1) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ビッグデータ・コネクト

この本についての記事を書いた記憶があるんだがどこにもない・・・.ダークヒーローとしては安直だがカタルシスがあるとか,IT土方文学は現代の蟹工船になるかとか,そんな話題について書いたと思われる.もう一度書くのは面倒だからこれで.
posted by terarorz at 15:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月02日

ヒトラーの国民国家

「ユダヤ人問題の最終的解決」は如何にして効率的に官僚的に為されたのか,なぜヒトラー率いるナチスドイツはあれほど好戦的だったのか,今に至るまでギリシャがドイツを恨んでいるのは何故か,戦後フランスがイギリスはおろか西ドイツにすら経済的に劣るようになったのは何故か,など.
色々な物事を説明するのに役に立つ仮説について延々と議論している.同じ仮説についてひたすら述べるのは向こうの一般向けの本の特徴なのだろうが,訳者が恐らく学者であるためか,非常に読みにくい.しかし読み取れるのは簡単なことである.
「戦闘に勝利すると資産を奪える」「ドイツ人は資産のためにはなんでもする」「奪った資産はドイツ国民にばらまかれた」
ドイツ人にとっては恐らく耳の痛い話ではないか.

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posted by terarorz at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

猫のいない海

佐藤大輔は,時事問題を著作に反映させる癖がある.
例えばこの短編は,華統国がアスローンに侵攻する時,レンストールや皇国は一体どのように対抗スべきかが話題となっている.すなわち,集団的自衛権である.
地図を見れば大陸国家が島国の貿易国家をどのように圧迫するかがわかる,というレベルではなく,南シナ海の制海権を巡って中国がどう出るかという勢いで地政学的によく似た構図になっている.

ただ,そうした背景知識は「わからないならわからないでいい」程度に抑えこまれていて,むしろそうした背景において個人,特に軍人が如何にして振る舞うべきかというもう一つの主題のほうが明らかに重きを置かれて描写されている.もちろん佐藤大輔の作品であるから一定のひねくれ具合が加えられているが,それでもそういうわかりやすい面白さを楽しめるのが佐藤大輔の良い所だろう.
優勢な敵と戦うのは何故か,味方を逃して自らが敵に立ち向かうのは何故か,あるいは逃げ出すならいつか,そして,その時にどのような態度を取るべきなのか.

最後の一文の残す余韻がたまらないが,ここに書いてしまうのは勿体無い.
posted by terarorz at 23:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする