2017年06月02日

平均球速から見たセパ格差

DELTAの指標を見比べていたら書きたいことが出来たので書いておくことにする.パの方が平均球速が速いということが言われてきたが,それを使ってリーグ戦力の差とそれにまつわる成績の差を予測できそうな気がする.

 DELTAの指標を見ていると,パの4シームの平均球速が143.1km/hであるのに対してセの4シームは142km/hであることがわかった.物凄く大雑把に物事を捉えると,平均球速が速いほうが防御率は下がる.雑にも程がある喩えだが,平均球速が140km/hの投手の防御率は4.00くらいだろうが,150km/hあれば2.00くらいまで下がるのではないか.とすると,平均球速が1km/h違うと防御率は0.2くらい変わってもまあ悪くはない.…これって結構な差だぞ.仮に防御率が4と3.8のチームがあったとすると,3.8のチームのピタゴラス勝率は52.5%くらいになる.18試合×6チーム=108試合あることを考えると57勝51敗となって,いやしかしパの方がもう少し勝ってるしなあ,と思う.
 さて,平均球速はセだろうがパだろうが独立して計算される数字であるが,それがどれだけの価値を持っているかというPitch Valueの指標を見てみたい.これは当然対峙する野手の能力の影響を受ける.4シームのPitch Valueを見るとセの方が4シームの価値が平均して高く,パの方が4シームの価値が低いことがわかる.…パの方が球速が速いのに?ここで恐るべき仮説が出てくる.パの方が平均球速が速いにも関わらず4シームの価値が低いということは,パの打者のほうがセの打者よりもだいぶ速球に強いと言えるのではないか?

 以上の議論は,セでは投手が打席に立つということを無視している.例えば投手には本気で速球を投げないだろうからセの投手の平均球速が遅くなるのではないか,とも考えられる.しかし,投手の打席は全体の1/10程度しか無いと考えられる(そもそもランダムでも1/9しか無い上に下位打線かつ代打があるので,もっと少ないと思われる).そのせいで1km/hもの球速差が出るためには,投手相手には平均で10km/hほど遅い速球を投げなければならない.それはないだろうと考えられる.ということで,平均球速の議論をする時は投手の打席の影響はそこまで無く,シンプルに投手の能力差を示していると考えられる.
 Pitch Valueの方は投手の打席による寄与を簡単に計算してみると(1打席=0.1点分の得点期待値があることと100球で0.3点ほどの速球による得点貢献の格差があることを使う),平均的な打者の代わりに速球で投手を打ち取っていると考えて,ほぼ相殺される程度であった.つまり,投手の打席の寄与を除いても,平均球速でパが速いにも関わらずセパで速球の価値が同程度であることになり,やはりパの打者のほうが平均的に速球に強いことがわかる.

 1km/hの球速の差を無にしてしまう打力の差とはどの程度だろうか.線形で考えれば,防御率4.0の投手を4.2にしてしまう程度の火力だと考えられる.さて,もともとの球速差からセの投手の実力は防御率4.0だとするとパは3.8だという計算を最初にした.ここに野手の能力差を入れてセの投手の防御率が4.2になるのに対してパの投手の防御率は3.8となると仮定してピタゴラス勝率を計算してみよう.パの勝率は55%まで上がり59勝49敗となった.ここ2年の星取表とほぼ一致する.
 最後に,UZRの差による守備の差はしかし108*9=972イニング程度では±1点くらいの差しか産まない.一方防御率の0.2の差は0.2*108=21.6と10倍程度の差を生む.守備の差よりも打撃・投球の格差が大きいことを示しているのだろう.

 純粋にデータから,速球の平均球速はパが勝るにも関わらずそれを打ち砕くパの打力があるということを示した.その他の変化球などの条件が同等であるとすれば,速球の球速差は現実的に勝率に現れるであろうことをやや乱暴な半定量的な議論で示した.変化球の球速差および有効な変化球の違いなどの傾向については議論しきれず今後の課題となる.
posted by terarorz at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツとか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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