2017年02月05日

所有せざる人々

これ初版1986年とかマジかよ

白熱光の後に読んだけれども白熱光は所有せざる人々への返歌というか同じ位置に居るぞという叫びなのかもしれないな.

男女や黒人白人などの差別や被差別の話でもあり当時はソ連だった国とのイデオロギーの対立の話でもあり研究者の戦いの話でもあり,またそういうテーマを抜きにしても,宇宙に出た未来の人類の話でもある.
テーマは重層的でかつ読み終えてから時間が経ったことから個々に振り返ることはしないし出来ないが,何もかもが上手くいかない中でも最後に一つだけ安心が残るような,そういう読後感であったことだけは記憶している.主人公は卓越した能力を持っていても,セカイ系的に世界が変わることはほとんど無い.物語的結末というか,必然性のあるラストではない.強いて言えば「人生は続いていくんだ」というような,翻訳小説によくある結末であるように思われる(というか本邦ではラストシーンがはっきりしすぎているのかもしれない).

排他と格差が言われる2016年時点での日本において何ら違和感なく読めるこの世界とテーマの設定がしかし1980年代の作品であるというのはすごいことだ.そらヒューゴー賞とネビュラ賞の両方を取っても不思議ではない.そして傑出度という点を抜きにしてもよく出来たサスペンスだったし世界を描いてみせるSFだった.
posted by terarorz at 15:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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