2014年03月01日

不倶戴天のユベントス

現在のセリエAで一番強いのはユベントスである.ローマもナポリも強いがただ強いだけでなく新しい潮流を生み出して勝ち続けているのがユベントスである.上位も下位もフルボッコにするユベントスから勝ち点を奪えば相対的に他のチームとの差を詰めることになる.今週末は大一番である.

ユベントスは今3142と呼ぶべき新しいサッカーをしている・・・らしい.机上で考える限りどうも通常の4231をボコボコにするために設計されたようだ.実はまだまともに観たことがない.
そしてそれにセードルフは4231で挑むのだろうか.その場合ピッチに起こり得ることを予想しておきたい.

13-14 26th vs Juventus 1 members.jpg
3142と4231を図示するとこうなる.強力無比な2トップと薄い両翼が目立つだろう.4231がサイドから切り崩せば勝てる相手に見える.特に両SBは空くはずだ.果たしてそう簡単だろうか.ポイントは両サイド以外ほとんどの配置が噛み合っていることにある.

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こちらがボールを保持した際に向こうは少なくとも最初の十分は突撃プレスをしてくる.ユベントスはそうやってカオスに嵌めていくチームだ.トリノ戦を思い出しておきたいが不用意にサイドにボールを運ぶとテベスポグバアサモアキエッリーニをサイドに集められて嵌められる.特に自陣低い位置でサイドハーフがボールを持った時に突撃されると危ない.最初の十分は少なくとも裏・一発狙いのアップテンポな展開にせざるを得ないだろう.ターラブトが輝く.

20分もすればボールが落ち着いて来る.こちらがボールを保持すれば押し込めるだろうか.両SBに突撃をかけてこない場合,かなり高い位置でボール保持が出来る.
13-14 26th vs Juventus 3 SB.jpg
サッカーのゾーンディフェンスの基本はボール保持チームがどちらであるにしろ「敵陣では数的同数」「自陣では数的優位」である.敵陣で相手がボールを持っている時に数的同数で嵌めればハイプレスが決まる.敵陣で見方がボールを持っている時に数的同数で押し込めば一人抜いただけでマークがずれ続けてチャンスが来る.
両SBが高い位置を取れるくらい押し込めれば相手は「自陣での数的同数」に陥る.この時サイドに張るターラブトと中に入る本田では前者のほうが構造的に有利であるのは注意しておきたい.いわゆるWBの裏なので.また,特に運動量と対人に難があるピルロにマッチアップするカカはかなり自由になる.これは勝ちだ.

13-14 26th vs Juventus 4 defence retreat.jpg
逆に相手がボールを持った場合に押し込まれるとどうだろうか.キエッリーニがドリブルで持ち上がってくるのが悪夢である.ボランチが行けばバイタルが空くしサイドハーフが行けば如何にも数的同数である.トップが行けばピルロが空く.負けである.
13-14 26th vs Juventus 5 defence pressing.jpg
一応キエッリーニを押し込んでアサモアに低い位置で渡れば嵌めるチャンスでもある.トップがバロテッリだとそういう動きは期待できないかもしれないが.

整理する.
この3142と4231のマッチアップはボールを保持して3バックのストッパーまたは4バックのSBが高い位置を取れれば勝ちである.数的同数なのだからガンガン縦パスを入れてくる.キエッリーニやバルザーリの縦パスに自信があれば当然だろう.逆も真でアバーテやエマヌエルソンで押し込めればターラブトの突破や本田とのパス交換はチャンスを生み出す.
お互いにガンガン縦パスが入り次から次へと決定機が訪れるようなハイテンションな試合になればスタミナとタレントに勝るチームが有利である.従って,ユベントスが有利である.
ユベントス(やドルトムントや去年のバイエルン)はそういう設計思想である.一度カオスに嵌まれば,タレントが不足すれば数学的敗北(リーグ下位のチーム),スタミナが不足すればカオスで押し切られ(バイエルンに粉砕されたバルサ),スタミナとタレントが揃っていても「慣れ」の問題で一発逆転がある(ドルトムントに潰されたレアル).

特にこのスタミナサッカーを支えるのがポグバ,ビダル,アサモア,リヒトシュタイナー,あるいは控えのマルキージオあたりの"4"である.こいつらにアバーテ,エマヌエルソン,デヨング,モントリーボ,ターラブト,本田辺りが走り勝てればもちろんチャンスが見えてくる.
ユベントスはミッドウィークにトラブゾンスポルと戦った.ポグバやビダル,マルキージオあたりは試合に出たようだ.トラブゾンスポルがそれほど抵抗しなかったので疲労困憊では無いだろうが,体力的には万全とも限らない.そうなると4231でガッチリぶつけて走り勝つというのは一つの手だ.
この戦い方だと本田は要らない.ポーリを入れて走り勝つ.ピルロのマッチアップという戦術的な役割があるトップ下から個人技を見せれば良いサイドにカカを避けてトップ下ポーリというのも手かもしれない.あるいはモントリーボでも良い.また,エッシェンやデヨングが輝く展開でもあるだろう.

もう一つは,ボールを取り上げても安易に縦パスを入れずジワジワと押し込んで窒息死させるやり方がある.ボールを失わないためにはこちらのビルドアップ部隊が相手の"4"のハイプレスを掻い潜るスキルを持つ必要がある.この戦い方の場合本田が必須である.ボランチの一角はモントリーボにしたい.
走力に不安のある本田はいっそ真ん中でピルロの相手をさせるのはありだと思うがこれは個人的な願望である.

13-14 26th vs Juventus 6 433.jpg
最後に,いっそ4231を捨てるやり方もある.一例に4141になる433を当て嵌めると,こんな感じでボヌッチとデヨングがお互いにフリーマンになる.どうせ窒息死狙いなら殴り合いのダメージを緩和しつつ戦ったほうが安定するのは間違いない.この場合,トップはピルロとのマッチアップがあるのでバロテッリは使えない.または4312のトップ下にターラブトを置いてピルロ番にしカカとバロテッリがサイドの面倒を見るというのもありだ.もちろんトップ下はターラブトではなく本田でも良い.
4231を潰すための設計なら無理に3ボランチで回避できるのは道理だろう.ただしサイドが押し込めなくなるので4312は一長一短だ.やはり433が勝るように思う.

ユベントス封じのポイントは三つ.「ピルロを潰す」「"4"に走り勝つ」「サイドを押し込む」だ.これに加えてジョレンテとテベスの一発があるが,ザッカルドとラミならそう簡単には負けないだろう.
EL挑戦権という観点からは結果が求められるが,今後の苦手意識をなくすためにもチームとしての自信を持つためにも内容良く戦いたい試合である.特にこういう戦術的な相手には戦術的な対応が求められる.セードルフの采配に注目したい.
posted by terarorz at 14:49| Comment(1) | TrackBack(0) | スポーツとか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「こちらがボールを保持した際に向こうは少なくとも最初の十分は突撃プレスをしてくる」→そうでもなかった
「両SBに突撃をかけてこない場合,かなり高い位置でボール保持が出来る」→うむ
「特に運動量と対人に難があるピルロにマッチアップするカカはかなり自由になる」→せいかい
「キエッリーニがドリブルで持ち上がってくるのが悪夢である」→ほとんど記憶に無い
「お互いにガンガン縦パスが入り次から次へと決定機が訪れるようなハイテンションな試合になればスタミナとタレントに勝るチームが有利である.従って,ユベントスが有利である.」大正解.花丸.100点.
「ポーリを入れて走り勝つ.ピルロのマッチアップという戦術的な役割があるトップ下から個人技を見せれば良いサイドにカカを避けてトップ下ポーリというのも手かもしれない.」→当たり
「エッシェンやデヨングが輝く展開でもあるだろう」→外れ
「「ピルロを潰す」「"4"に走り勝つ」「サイドを押し込む」だ」→成功,やや不発,成功
「これに加えてジョレンテとテベスの一発があるが,ザッカルドとラミならそう簡単には負けないだろう」→大失敗

攻撃の厚み不足が響いた.デヨングとモントリーボがカウンターをケアしていたからだ.しかもそれでもやられた.バロテッリという決定力が居ない時にああいう展開にしてはいかんのだろう.窒息死作戦がより有効だったか,あるいはポーリ→エッシェンでモントリーボをトップ下に置いてエッシェンに攻撃参加させるか.
それを事前に指摘しておくことは出来たと個人的にも反省.
Posted by at 2014年03月03日 08:17
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