2015年08月02日

ヒトラーの国民国家

「ユダヤ人問題の最終的解決」は如何にして効率的に官僚的に為されたのか,なぜヒトラー率いるナチスドイツはあれほど好戦的だったのか,今に至るまでギリシャがドイツを恨んでいるのは何故か,戦後フランスがイギリスはおろか西ドイツにすら経済的に劣るようになったのは何故か,など.
色々な物事を説明するのに役に立つ仮説について延々と議論している.同じ仮説についてひたすら述べるのは向こうの一般向けの本の特徴なのだろうが,訳者が恐らく学者であるためか,非常に読みにくい.しかし読み取れるのは簡単なことである.
「戦闘に勝利すると資産を奪える」「ドイツ人は資産のためにはなんでもする」「奪った資産はドイツ国民にばらまかれた」
ドイツ人にとっては恐らく耳の痛い話ではないか.

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posted by terarorz at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

猫のいない海

佐藤大輔は,時事問題を著作に反映させる癖がある.
例えばこの短編は,華統国がアスローンに侵攻する時,レンストールや皇国は一体どのように対抗スべきかが話題となっている.すなわち,集団的自衛権である.
地図を見れば大陸国家が島国の貿易国家をどのように圧迫するかがわかる,というレベルではなく,南シナ海の制海権を巡って中国がどう出るかという勢いで地政学的によく似た構図になっている.

ただ,そうした背景知識は「わからないならわからないでいい」程度に抑えこまれていて,むしろそうした背景において個人,特に軍人が如何にして振る舞うべきかというもう一つの主題のほうが明らかに重きを置かれて描写されている.もちろん佐藤大輔の作品であるから一定のひねくれ具合が加えられているが,それでもそういうわかりやすい面白さを楽しめるのが佐藤大輔の良い所だろう.
優勢な敵と戦うのは何故か,味方を逃して自らが敵に立ち向かうのは何故か,あるいは逃げ出すならいつか,そして,その時にどのような態度を取るべきなのか.

最後の一文の残す余韻がたまらないが,ここに書いてしまうのは勿体無い.
posted by terarorz at 23:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 本とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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