最初に言い訳。
忙しかった(笑)から全然読んでない(笑)
厳密に言うと頭が悪くなってきたので本を読むという作業ができなくなった。
しかし今年は100切ったんじゃないか……。
必然的にその中のベスト10のレベルも下がるだろう。
と予想したんだが中々どうして上位陣は強かった。
2000-2009年ベスト10を選んでも候補には入れたくなる勢い。
まあ多分に神林補正が感じられるけれども。
10位
人間の手がまだ触れない
2009年頭くらいに読んだんだけど内容を覚えていない。
面白かったというのは覚えていて、だからここの位置に入れているんだけれども。
というわけで実は10-8位の間に定量的な差はない。
しかし定性的に分類するならこの辺りだろうと考えている。
ちなみにその上の7-4位もそんな感じ。
質的に
大きな差があるとは思えない。
強いて順位付けするならこんな感じ、で入れている。
そして1-3位も今年読んだ中では別格という意味で一つのギャップの上に位置する。
まあその中でも上二つはさらに別格な気もするが、そこに思い入れ補正が働いていることは否定できず、とりあえず三つをまとめることにした。
なんていい加減な
ランキングなんだ。
しかし俺という人間の粗雑さがこのランキングの粗雑さに反映されているとすれば至極当然な気もする。
9位
時間衝突
最近読んだ補正を感じる。
しかしまあ面白かったと思うよ。
例年なら次点クラスと言われれば否定しないけれど。
時間を波動と捉えれば波動方程式の解は必ず二つの進行方向を表す解を持つはずだという見解に一番合点が行ったのに直後の文章で否定されたことが一番印象に残っている。
その重ね合わせで定在波が出来たらどうなるんだろうか。
凍りついて振動する定在波のイメージが時間衝突というタイトルにまさに当て嵌るように思えて作中で起きている現象を表現するには本当に良い解釈だと思ったんだけどな。
8位
天の光はすべて星
多分に宇宙狂補正を感じる。
俺個人の感情の話だけど、宇宙狂という人種が大好きだ。
無論自分にそういう面があるからだけれども、宇宙に行きたい、地球に縛られてたいくない、重力井戸の底で一生を終えてたまるか、そういう強い活力を人間が持っていると信じたいし信じているし、発揮している世界や人を羨ましく思う。
一番わかり易い所で言えばプラネテスのハチマキだし、ある意味シャアなんかもそう。
まあシャアはどっちかって言うとコンプの方が強くて、もっと純粋に重力井戸から脱出したいという願望があるのはジュドーだと俺は思うけど。
宇宙に出れば人類の革新が見られる、とかじゃなくてもっと根源的な渇望が宇宙に出たいという意思にはあるはずだ。
一箇所に留まっていたくないという意味で類人猿だった頃の祖先の放浪癖を色濃く受け継いでいるのかもね。
いずれにせよ安住し安寧とする人類なんか捨てて早く宇宙に上がりたいと俺は思うわけです。
木星に突撃して人生終われたら良いね、なんて話もしたけれど、今はバーナード星が良い。
まあプロキシマ・ケンタウリで手を打ってやらないことも無いけど。
7位
東大合格
高校盛衰史
資料的な価値をあまり大きく取り上げたくはなかったが、文章ににじみ出る面白さというかユーモアと冷笑主義が強烈だったので入れた。
淡々とした筆致でいわゆる
東京の女子御三家の生徒達の性質について述べたあと「論評は差し控える」と書かれたときには、狙っているのはわかっていても笑ってしまった。
とにかく読み物として面白く、読み始めたら止まらない。
6位
傷物語
帰ってきたいしんさんリターンズとかいう意味不明なフレーズが浮かんだ。
偽物語はゴミクズだったが傷物語で本来の姿を取り戻したという感じ。
胡散臭いオカルトや伝奇を匂わせつつただの掛け合い漫才を延々と書き続ける
スタイルがやはり一番この人に合っていて面白い。
もちろん伝奇の部分はそんなに面白くないんだけど。
掛け合いの面白さは天下一品なので本当に電車の中で読むのにはおすすめできない。
5位
桜並木の満開の下
浅木原さんの存在を知ったのは2009年の出来事の中でも重要な物の一つだ。
多少描写や何かのパターンが狭いと感じることもあるけれど、素直な表現の一人称視点で作られる世界は魅力的。
読み手に予備知識を要求することだけが唯一の難点でこればっかりは同好の士でないと分からない。
もちろん分かる人が少なければ少ないほど面白いといういつものアレが顔をのぞかせるわけだけど。
そんな中で12冊も出た2009年の浅木原さんの作品として最も面白かったのがこれ。
モチーフになった作品を巡るミステリっぽい短編連作。
浅木原さんの構成力(妄想力?)がよく発揮される作りになっていて、掛け合いも含めて本当に面白いと思う。
去年末に出た新刊を読むのが今の一番の楽しみ。
4位
天冥の標I上
アイディアとそれに屁理屈をつける才能だけはすごい小川一水の作風が良い方向に出た作品。
とにかく世界観が素晴らしく、人間の探究心をくすぐる海と空と宇宙とが全部無理なく出現して冒険の対象になる。
未知を克服するというのは人間の、或いは知性の夢だけれど、その対象として単純に宇宙だけを選ばないのが小川一水らしい。
この人、実は海(というより深海か?)がかなり好きだから。
長編ということでアイディアがたくさん出てくるが、どれを取っても良く考えられている。
レールガンを実現するための肉体改造だとか、人類意外の生物の生態やその不気味さ何かも良かった。
この人が人間を上手く書けるようになったらさいきょーだと思うんだがそうそう都合よくいかないのが面白いところ。
頑張れ一水たん。
3位
地球移動作戦
恥ずかしながら山本弘という作家の作品を読んだのはこれが初めてだったわけですが、間違いなく読むに値するSFだった。
とにかく地球移動というタイトルから受ける
インパクトが強すぎてあまりにワクワクしてしまうのだが、それに振り回されること無くしっかりSFしていると思う。
特に現実と違う仮定をしている箇所を絞ってきちんと理屈を積み上げて未来世界を書いているのが素晴らしい。
ボーカロイド文化と
動画サイト文化がこれからこういう方向に進化するかは分からない、というかこんな健全な方向には進まない気がするが、それに対してきちんと向き合っている人と言う意味でも稀有な存在。
……ここまで書いて野尻抱介という人を思い出したが、もしかしてこの方面の人達ってみんなこういう人達なんだろうか。
新しいものや技術っぽいものが好きならみんなそうなるのかもね。
2位
ライトジーンの遺産
1位
アンブロークンアロー
結局神林長平が一番面白くてすごいんだね。
自分のアイデンティティについて考えない人間はカスだけれど、そのカスを除いた「人間」にとってアイデンティティもののSFって大体面白いんだよね。
自分と違う意見が存在するならそれを読んでみたい知ってみたい自分と
の違いを考察したいと思うのは至極当然のこと。
そのアイデンティティSFを書くのは難しいかもしれないけど、きちんと煮詰めてから書ければこんなにも素晴らしいものになる。
ライトジーンの遺産では身体と意識の関係が、アンブロークンアローでは機械と意識の関係が述べられている。
どちらも最近の神林長平らしく極端に厭世的でも楽観的でもない(しかし達観した)登場人物達があれこれ考え会話している場面が多いのだがどれも非常に面白いので全人類が読むべきではないかとすら思う。
神林長平の作品自体はそれが行き過ぎて袋小路にハマったような物も多いけど、逆にいい意味でハマったときの面白さは本当に凄い。
まあ何が自分を定義しているのか、自分と他人の違いは何なのかが明確でない時期にこういうのを読んでしまいとかぶれてしまうからちょっと良くないけどね。
神林長平を読んだ時に凄いと思うのはともかくその通りだと思ってしまうのはちょっといただけない。
あくまで作品では一つのアイデンティティの形が提起されているだけで、それと自分の形を戦わせて初めて対等と言える。
なんて書いてしまうと俺のアイデンティティ論になってしまうからやめておくけれども。
以上が2009年のまとめ。
2008年に比べると中位の厚みは落ちたが上位はむしろ上回る勢い。
去年は当たり年だったのかな。
ちなみに本来中位として上げられるような本の代わりに読んでいたのが
雑誌。
中でもfootballistaにはお世話になった。
というかこれ以外の雑誌は特にどうと言う事はない。
こういう濃い雑誌が作られる(そして受け入れられる)あたりにサッカーという競技の裾野の広さを実感し、羨ましく思う次第だ。